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羽根とカメラとメイド服
「そろそろ移動しますか?また私が抜ければ相手が見つかる気もしますが」
相手に恵まれず、いい加減モンス戦に飽きてきた頃、ひなげしが提案してきた。
「あっしかひなげしさんのどちらかが離脱すれば斬りかかれそうっすね」
「カマロさんが抜けるのは抵抗があります。『カマロさんあってのアンドランダム』ですから」
「あっしはそれほど大した活躍しとりゃしませんよ」
そんな2人をやりとりを聞きながら、私はまだ"あの事"を考えていた。
このままもやもやした気分を抱えて対人戦に臨むのは危険だ。
いっそのことしばらく別行動をとるのもいいかもしれない。
「ではまた2人ずつに分かれましょうか」
リキさんは別行動に全面的に賛成した訳ではなかったが、
結局私たちは二手に分かれてそれぞれ逝者の谷を目指すことにした。
丁度その頃、私はひそかにある人物と接触していた。
長らく行方不明になっていた黒い羽根が闇のマーケットに出回るという噂を聞きつけたからだ。
相手は相当な女好きらしいので、色仕掛けで攻めれば簡単に口説き落とせる筈だった。
しかし……
「何が『もっと清楚な女が好みだ』よ。ホント信じられないっ!」
まったくもって信じがたいことに相手は私の申し出を拒否した。
仲間のもとに戻ってからも私の怒りは収まらなかった。
大体、戦場に清楚な女なんている訳ないじゃない。
―――ん?
その時、服を着替えたひなげしが目に入った。
―――灯台下暗しか。
私はそっと近づいていった。
「あら、随分と色っぽくなっちゃって。ちょっとこっち来て。背中に何かついてるわよ」
「主と言えど、後ろに立たれるとうっかり斬り付けてしまうかもしれませんよ……で、そのカメラは何ナンです?」
さりなげなく紐を外そうとした私に向かってひなげしが冷たく言い放った。
「えっ、こ、このカメラ?これはね、えっとえっと…そ、そう、久しぶりに来た逝者の谷を背景に記念写真でも撮ってあげようかなって(焦」
―――くっ、鋭い娘だ。
仕方ない。今回は諦めるか。
そもそも本来の所有者の手を離れた羽根を集めたところで、私の刻印の力が増すわけではない。
ただ、分不相応な者が持てば、きっとその身を滅ぼすことだろう。
だから私は現時点で実質的に唯一人の羽根所持者として回収に向かっただけなのだから。
あの羽根を手に入れたものがどう使うのかは分からない。
ただ、興味本位で使いこなせるほど甘くはない。
果たしてどうなることやら……。
そんなことがあった後、私とひなげしは逝者の谷に向けて進みだした。
しばらく歩いていると、また"あの事"が頭の中に浮かんできた。
どうやら白黒はっきりつけるまでは収まりそうになかった。
―――やはり直接確かめよう。
私はひなげしを急かして、先に出発していたカマロさんとリキさんを追いかけた。
何と聞けばいいのか、そんなこと分からない。
しかし、カマロさん達の姿が見えたとき、私の心は決まった。
人斬りが街道で他のパーティを見つけたときにやることはただひとつ。
―――さぁ、互いの刃で語り合おうか。
相手に恵まれず、いい加減モンス戦に飽きてきた頃、ひなげしが提案してきた。
「あっしかひなげしさんのどちらかが離脱すれば斬りかかれそうっすね」
「カマロさんが抜けるのは抵抗があります。『カマロさんあってのアンドランダム』ですから」
「あっしはそれほど大した活躍しとりゃしませんよ」
そんな2人をやりとりを聞きながら、私はまだ"あの事"を考えていた。
このままもやもやした気分を抱えて対人戦に臨むのは危険だ。
いっそのことしばらく別行動をとるのもいいかもしれない。
「ではまた2人ずつに分かれましょうか」
リキさんは別行動に全面的に賛成した訳ではなかったが、
結局私たちは二手に分かれてそれぞれ逝者の谷を目指すことにした。
丁度その頃、私はひそかにある人物と接触していた。
長らく行方不明になっていた黒い羽根が闇のマーケットに出回るという噂を聞きつけたからだ。
相手は相当な女好きらしいので、色仕掛けで攻めれば簡単に口説き落とせる筈だった。
しかし……
「何が『もっと清楚な女が好みだ』よ。ホント信じられないっ!」
まったくもって信じがたいことに相手は私の申し出を拒否した。
仲間のもとに戻ってからも私の怒りは収まらなかった。
大体、戦場に清楚な女なんている訳ないじゃない。
―――ん?
その時、服を着替えたひなげしが目に入った。
―――灯台下暗しか。
私はそっと近づいていった。
「あら、随分と色っぽくなっちゃって。ちょっとこっち来て。背中に何かついてるわよ」
「主と言えど、後ろに立たれるとうっかり斬り付けてしまうかもしれませんよ……で、そのカメラは何ナンです?」
さりなげなく紐を外そうとした私に向かってひなげしが冷たく言い放った。
「えっ、こ、このカメラ?これはね、えっとえっと…そ、そう、久しぶりに来た逝者の谷を背景に記念写真でも撮ってあげようかなって(焦」
―――くっ、鋭い娘だ。
仕方ない。今回は諦めるか。
そもそも本来の所有者の手を離れた羽根を集めたところで、私の刻印の力が増すわけではない。
ただ、分不相応な者が持てば、きっとその身を滅ぼすことだろう。
だから私は現時点で実質的に唯一人の羽根所持者として回収に向かっただけなのだから。
あの羽根を手に入れたものがどう使うのかは分からない。
ただ、興味本位で使いこなせるほど甘くはない。
果たしてどうなることやら……。
そんなことがあった後、私とひなげしは逝者の谷に向けて進みだした。
しばらく歩いていると、また"あの事"が頭の中に浮かんできた。
どうやら白黒はっきりつけるまでは収まりそうになかった。
―――やはり直接確かめよう。
私はひなげしを急かして、先に出発していたカマロさんとリキさんを追いかけた。
何と聞けばいいのか、そんなこと分からない。
しかし、カマロさん達の姿が見えたとき、私の心は決まった。
人斬りが街道で他のパーティを見つけたときにやることはただひとつ。
―――さぁ、互いの刃で語り合おうか。
苦悩
目の前で解鍵職人が崩れ落ちた。
続けてひなげしがパラライズを詠唱を開始する。
――――!
気がつくと既に戦闘は始まり、こちら側が相手を2人倒したところだった。
慌ててチェインを開始し、黒師と冒険者を倒した。
ダメだ。
もっと集中しないと。
しかし……
「いらっしゃいませ、ご主人様♪」
あの光景が頭から離れない。
何か言った方がいいのだろうか。
あれからカマロさんと2人きりで話す機会はなかった。
けれど、何を言えばいいのか。
やはりリングを落としたことに負い目を持っていたのだろうか。
私たちは賞金首の人斬りだ。
バイトをするといってもまともには雇ってもらえないだろう。
やむにやまれずあんなバイトをしていたのだとしたらすぐにでもやめさせるべきだ。
しかし、仮に、万が一、好きでやっていたのだとしたら……
私たちは仲間ではあるけれど、各自のプライベートは尊重するべきだ。
一体どうしたら……
続けてひなげしがパラライズを詠唱を開始する。
――――!
気がつくと既に戦闘は始まり、こちら側が相手を2人倒したところだった。
慌ててチェインを開始し、黒師と冒険者を倒した。
ダメだ。
もっと集中しないと。
しかし……
「いらっしゃいませ、ご主人様♪」
あの光景が頭から離れない。
何か言った方がいいのだろうか。
あれからカマロさんと2人きりで話す機会はなかった。
けれど、何を言えばいいのか。
やはりリングを落としたことに負い目を持っていたのだろうか。
私たちは賞金首の人斬りだ。
バイトをするといってもまともには雇ってもらえないだろう。
やむにやまれずあんなバイトをしていたのだとしたらすぐにでもやめさせるべきだ。
しかし、仮に、万が一、好きでやっていたのだとしたら……
私たちは仲間ではあるけれど、各自のプライベートは尊重するべきだ。
一体どうしたら……
副業カマロ
――二度ならず三度までも推参な。
TTIによる三度目の襲撃を受け、私の生涯四度目の敗北を喫した後、
私たちは傷を癒すべくエルクアールに戻っていた。
「あっし、またミスリルリングを奪われちゃったっす」
「まだお金はたくさんあるんだから気にしないで」
「いや、そういう訳にはいかないんっす。ちょっと街でアルバイトしてくるっす」
カマロさんのやるアルバイトがどういうものか気になった私は、こっそりとあとをつけていった。
体格の良いカマロさんのことだ。街道の補修工事か何かだろうと思ったけれど、向かった先は繁華街だった。
カマロさんが入った店の看板に目をやった。
『エンジェルズほぉ〜む♪』
皿洗いのバイトかな?
裏口に回って覗いてみたが、カマロさんの姿は見当たらない。
そういやこの手のお店に入ったことはない。
――ちょっと入ってみようか。
興味本位で入ってみると、
「いらっしゃいませ、ご主人様♪」
聞きなれた声が出迎えてくれた。
見慣れたスキンヘッド。
見慣れた顔。
そしてメイド服。
私は無言のまま回れ右し、店を後にした。
「カマロさん戻ってきませんね。」
「あれ、リノさん顔色が青いですよ。大丈夫ですか?」
「え、えぇ、ちょっと気分がすぐれなくて……。」
TTIによる三度目の襲撃を受け、私の生涯四度目の敗北を喫した後、
私たちは傷を癒すべくエルクアールに戻っていた。
「あっし、またミスリルリングを奪われちゃったっす」
「まだお金はたくさんあるんだから気にしないで」
「いや、そういう訳にはいかないんっす。ちょっと街でアルバイトしてくるっす」
カマロさんのやるアルバイトがどういうものか気になった私は、こっそりとあとをつけていった。
体格の良いカマロさんのことだ。街道の補修工事か何かだろうと思ったけれど、向かった先は繁華街だった。
カマロさんが入った店の看板に目をやった。
『エンジェルズほぉ〜む♪』
皿洗いのバイトかな?
裏口に回って覗いてみたが、カマロさんの姿は見当たらない。
そういやこの手のお店に入ったことはない。
――ちょっと入ってみようか。
興味本位で入ってみると、
「いらっしゃいませ、ご主人様♪」
聞きなれた声が出迎えてくれた。
見慣れたスキンヘッド。
見慣れた顔。
そしてメイド服。
私は無言のまま回れ右し、店を後にした。
「カマロさん戻ってきませんね。」
「あれ、リノさん顔色が青いですよ。大丈夫ですか?」
「え、えぇ、ちょっと気分がすぐれなくて……。」




